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ジム・ロジャース「日本への警告」講談社α新書

ジム・ロジャースといえば、投資の神様!かつてユダヤ人投資カリスマ、ジョージ・ソロスとクォンタムフォンドを運営し、途轍もないリターンを手にした凄腕投資家だ。彼が書いた「警告本」には凄みがある。単なる思いつきではないからだ。日本のようにアマチュア評論家が跋扈する出版界から出たものとしては1級品といえるだろう。さて、この本は日本の「危うさ」について「警告」している。国内では機密保護法やNHKの報道操作で見事に国民の視野が閉ざされている。この本が結構東京の大型書店でベスト10に入っていることは喜ばしいことだ。さて、その「警告」とは何だろう?著者はまず日本の債務残高とアベノミクスの危うさを警告している。簡単に言うと947兆円の債務を持つ身でありながら、国債を発行しまくって、円も刷りまくって「好景気」だと国民を欺いている。政権維持のために票田企業の破産を回避させ、失敗を尻ぬぐいする。いわゆる古い人間を守っている。このスパイラルを続けていれば、100%円の価値は暴落する。それを予見して筆者は日本からすべての株式を手放したという。20年後には韓国のウォンより円が下に行ってしまうのだそうだ。安倍首相のやっていることは「ほぼすべて間違っている」これが筆者の見解だ。自分を支える重鎮たちを守り、不都合なことを子孫にすべて残すという愚策を取り続けているのだ。おまけにアメリカ大統領の要求通りに高額な戦闘機等を購入し続けているのは愚の骨頂!筆者はオックスフォードで歴史を学んでおり、歴史に対する造詣が深い。今の日本はかつて凋落した国家の姿と極めて似ているということだ。来年に控えているオリンピック後は決定的にその傾向がでるという。「このままだと・・・」。

ではどうすればいいのか。筆者は警告だけでなく提言もしている。回避する方法は①閉鎖的意識の払拭(差別意識の解消)②日本人が海外に出ていくこと③国際バカロレアプログラムを導入して日本の学校を外国人に開放することらしい。可能性が残されている分野としては①観光(古民家利用)②教育を挙げていた。たぶんこの本でほとんどの日本人が「そんなバカな」というであろうことがある。それは「統一朝鮮」の可能性だ。筆者はかなり本気でこの話を展開している、というか既成事実として中国・ロシアは着々と「統一後」にフォーカスして準備しているらしい。中国の可能性についてはもう筆者だけではなく、多くの知識人がアメリカを追い抜きGDP世界一位の最強国になることはもう言うまでもないが、その時に備えてシンガポールに数年前から移住し、子どもたちに中国語をマスターさせたというからおもわず笑いが出た。こういう動きをしているんだな投資家って。歴史と地理と政治、そして財務諸表からあらゆる未来を予測していくわけだ。結構センセーショナルな内容で刺激をうけた。



by oritaraakan | 2019-09-16 01:00 | 読書ログ  

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