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開高健「ベトナム戦記」朝日文庫

1964年から95年にかけて「週刊朝日」に毎週草稿していたルポルタージュをまとめたのが本著。ベトナムでの北爆も始まった時期であるから、全土が最前線という状況である。俺はこのころのベトナムに非常に興味があるが、まさに地獄以外の何者でもない時期の話だ。当時のベトナムには内閣、将軍達、仏教徒、ベトコンの4つの政府?が存在した。このうち仏教徒とベトコンだけが統一力を持ち、この2つの勢力は決して対抗しあわない。実に不思議なパワーバランスの元で内戦が展開されていた。開高はこのなかで政府による公開処刑を目の当たりにし、深刻な虚無のどん底に突き落とされる。また、ベトコンの地下トンネル体験し「史上最強の軍隊」とかたった。その凄さは俺も直接この目でみたから理解できる。
「チョーヨーイ!(嘆くときに発するこん畜生!の声)」という声があふれていたベトナム。その時代はもう昔の話になってしまったが。その情緒は脈々と受け継がれている。俺は恵まれている。そんなベトナム人に日々接する機会が与えられている。日々学んでいこう。

by oritaraakan | 2017-05-13 23:04 | 読書ログ  

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